マラソンは「立ち回り」で何とかなる

防御こそ最大の攻撃に

 マラソン界の末席で慎ましく走っていると、さまざまな方の目標やレースプランに触れる機会も少なくありません。私自身もコロナ前から今にかけて実戦経験を積ませてもらいました。そんな中感じたのは、サブ3.5からサブ3にかけては「どうレースで立ち回るか」を冷静に状況判断出来る力が必要なのだ、ということです。
「攻める」ということはマラソンでは相当なリスクを伴います。特に、失速し始めると一気に心が折れてしまい、レースどころにならなくなります。ある種「防御こそ最大の攻撃」と言えます。

トライアルマラソンの例から

 昨年12月の「奈良・平城宮跡歴史公園トライアルマラソン」は、特にこれを強く意識しました。
 この時は「4’15”/kmを徹底的に死守する」と考えて走りました。平坦なコースでペースを作りやすい展開ということもあり、理想的ペースにハマって走ることが出来ました。他の選手が前に行こうとしなかった、ということもあって、マイペースで引っ張れたのが功を奏したこともあります。
 中間点を過ぎ、30kmからは粘り通すことを意識し、残る力を全てぶつけました。これでネガティブスプリットを綺麗に決めることが出来、サブ3にも繋がりました。これも「ペース死守」の賜物と考えています。

貯金作りに勤しむと失敗する

 貯金をたくさん作ることを狙って前半を走ると、オーバーペースに呑まれて急失速、ということも少なくありません。特にサブ3.5以上になると、レース中にどう立ち回るかが大変重要です。特に序盤の密集しやすい状況下では、無理に前に行こうとすることで余計に脚を使いかねません。序盤2kmを使っても「ここまではウォームアップ、あと40km残っている」と考えて少しずつペースを乗せれば何とかなります。
 鉄壁な防御こそ最大の攻撃なり。ことマラソンに関してはその心の持ちようも大切になると考えます。