「ローカル化」がマラソンの生きる道

COVID-19禍の収束は見えず

 2020年2月頃から日本でも広がったCOVID-19。1年半を過ぎても全く収まらず、最近はデルタ株の影響で波のピークの到来すら見えず、絶えず増加を続けています。兵庫県も3日に5月以来の新規感染者400人超となりましたが、収まる気配は全くありません。

冬シーズンも「中止」の報が入る

 そんな中、マラソン大会も中止が相次いでいる状況です。2日には、11月末に開催予定だった福知山マラソンの2021年大会中止が決定しています。
 福知山市の大橋市長は「ワクチン接種と医療提供体制の確保が最優先課題」と述べました。このことは各自治体に重くのしかかっています。東京の医療は崩壊状態にある中、関西圏も現場ではギリギリの闘いを強いられる状況は全く変わっていません。

 先が見えない状況にある中、政府は「中等症以下は自宅療養を」という方針を打ち出しました。COVID-19の「中等症」は「死にそうなレベル」と形容される厳しい状態です。厚労省の診療の手引きによれば次の通りです。
  1. 中等症Ⅰ(呼吸困難・肺炎所見あり)
  2. 中等症Ⅱ(酸素投与が必要な呼吸困難の状態)

 したがって、呼吸困難があっても「自宅で様子見せよ」という方向に来ている、ということを示唆しています。これは重く受け止めなければならないと考えています。その後、田村厚労相が見直しに言及しましたが、果たしてどうなるのでしょうか。

大会は「ローカル化」へ舵を切れ

 「市民マラソン」は、小規模(100人程度)のものはまだしも、東京マラソンを始めとする公道での大会はほとんどが立ち消えになっています。緊急事態宣言もありますが、スポーツとして最もシンプルかつ裾野の広いマラソンが懸念を前に出来ないことは文化面の大きな損失に当たると考えます。事前検査、体調管理シート提出等の対策を敢行すべきと言えます。

 マラソンは「全国募集」を当然としていますが、これを改めない限り、未知の感染症による脅威が現れる度に「中止」となり、そうなると「大会廃止」も現実味を帯びます。新時代のマラソンはそのような脅威に立ち向かうならば、「県内」「地方内」に定員を割り振って開くしかありません。

 (注)緊急事態宣言下、まん延防止等重点措置下での開催は困難との認識に変わりはありません。これらの開催条件は、「感染状況の落ち着き」が大前提です。

 例えば、神戸マラソンでは、「神戸市民枠」「兵庫県民枠」「関西地方枠」(ここまで先着順)「全国枠」(抽選)とすることも必要でしょう。そして、前者3カテゴリーに枠を多く配分し、「関西に住みながら落選して涙を呑んだ」という人に走ってもらう、で良いのではないでしょうか。事態が芳しくなければ県外募集を差し止め、「県内限定」とすべきところです。
 「誰もに等しくチャンスを」与える形のマラソンは困難を極めます。ならば、「地元最重視」の大会で実績を積むしかありません。