「スポーツをする人」へ向けられる反感

選手への風当たりが強まる

 東京オリンピックの開幕まであと10日余り。COVID-19の日本での状況は芳しくなく、東京は今日から8/22まで緊急事態宣言が再発令されることが決まりました。これを踏まえ、首都圏の1都3県では「無観客開催」が決まり、後に北海道と福島県もそれに追随しました。

  そんな中、上智大国際教養学部、中野晃一教授のツイートには首を傾げざるを得ません。

 これは、選手に対して失礼極まりない言動であると共に、全世界でスポーツに取り組む人をも嘲笑う発言に映ります。私自身、オリンピックは「やるなら無観客だが、中止もやむなしの状況」と考えています。しかし、この発言だけは頂けません。選手を「スポーツしか出来ないバカ」と呼ぶ筋合いは何人たりとも持ち合わせている訳がありません。

選手は「ある」との前提で動いている

 結果的に中止の決断が無い以上、選手が「調整を止めます」「準備しません」ということはあり得ません。大会が開催決断した以上、それが覆るまでは準備を整えようとするのは自然なことです。
 最近、スポーツ選手の様々なトピックへの踏み込んだ発言が取り上げられる機会が増えて来ました。しかし、自らの論を通そうと選手の口を借りる、もしくは「選手は何も考えていないバカな人間」と冷笑することが真っ当な姿勢でしょうか。これは何もオリンピックに限らず、市民ランナーが出走する大会でも同様です。「大会をやる」とリリースされた以上、私がその立場にあればそこに向かって準備するだけです。

「反スポーツ大会」の流れとの戦いに

 既往の様々な研究からも、COVID-19が恐れるべき疾病であるのは論を待ちません。しかし、それを恐れるあまり、「スポーツ大会は感染爆発の原因だ!」と短絡的に進んでしまうことは大問題です。国内大会で、規模が大きくないもの、参加者の資格を限定したもの等のリスクはオリンピック級の大会よりはるかに小さいと言えます。私としては、2022年にかけてそのような「反スポーツ大会」の風潮との戦いを見通しています。それは特にマラソンで強いと考えていますので、マラソンの旗をランナーの端くれとして守って行きたいと思います。