神戸マラソンの要項決まる

参加料の大幅値上げに

 3月26日、神戸マラソンの大会実行委より、2021年の第10回神戸マラソンの要項がリリースされました。その中で最も目を引いたのが、「参加料19500円」という点です。第9回大会(2019年)では15000円だったことから、大きく値上げされることになりました。

 実行委員会によれば、「警備費をはじめとする安全・安心な大会運営に必要な経費の増加及び新型コロナウイルス感染症対策経費が新たにかかることから、参加料を改定します。」としています。

【神戸マラソンHP】第10回神戸マラソンの大会概要が決定しました

値上げの流れは今後も続くのか

 先日行われた名古屋ウィメンズマラソンでは、例年の大会と比べて参加者数を半減させたため、参加料は26000円(前回大会と比べて2倍)となりました。無事に開催されたことは大きな第一歩でしたが、COVID-19対策を考えると、大会参加料が高騰する流れはさらに鮮明となるのではないかと思います。
 一方、医療体制ひっ迫の懸念から、地方都市の大会が中止の決断を下す状況は好転していません。これが続くと、「どれだけ高くても走る」という人にだけマラソン・ロードレースの門戸が開かれることになってしまいます。それだけの持ち出しを覚悟せよ、ということなのか、と思ってしまいます。モチベーションとなるマラソン大会への参加が「財力」の世界になることが、スポーツとしてマラソンが広く浸透する上では妨げとなりかねません。

 私は「県内枠」で開催を遂げた防府読売マラソン方式を手本に、県内から1000人、2000人と集めて限定開催することも想定するように、と述べ続けていますが、神戸マラソンでは「2万人」と東京同様に踏み込んだ数字を出しています。
 この数字は、COVID-19が拡大する前の2019年と全く同じ数字です。名古屋ウィメンズ、長野マラソンのように、時勢を鑑みて定員を減らすこともしなかった、という姿勢には首を傾げます。そこまで募集を掛け、かつ参加料を2割以上値上げする、という理由の説明が実行委員会から行われたとは言い難い状況です。そして、2万人という数字は一般からの理解を得ることを難しくさせる懸念が強いように感じます。

「夢」ではなく「現実」を語る大会を

 東京マラソンでは、手荷物預かりも拒み、チェックシートはスマホ提出とのことです。ランナー全員がスマホ片手に42.195km走るのが当たり前、と思っているのでしょうか。スマホを持てば、ルール上記録公認はなされない、という現実を見て決めているのか、と思います。
 マラソン大会はCOVID-19の影響を受けて中止が相次ぎました。そこから開催しよう、との流れが出るのは望ましいですが、大会が「2万人募集します!」などと夢物語を語っているのではないか、と思わずにはいられません。COVID-19に関わる現実を見て、基本的対策と小規模開催も想定する、としないのは、そこから目を背けて夢に逃げているのではないか、と指摘せざるを得ません。大会こそ現実を語り、「ここまでの規模なら出来そう」としてもらいたい、こう強く思います。