神戸マラソン、2年連続中止へ

医師・看護師によるバックアップ困難

 5月31日付の神戸新聞にて、「神戸マラソン、今秋も中止」と報じられました。中止は2020年に続いて2年連続2回目。3月に要項を示したものの、現下の神戸市内の医療提供体制は危機的状況が続いているため、決断されることになりました。

【神戸新聞NEXT】神戸マラソン2年連続中止へ 医療スタッフ確保困難

 現在、神戸市内の病床使用率は8割に達しています。(出典:神戸市HP)また、療養を必要とする人に対して、既に入院出来ている人がどれ程の割合かを示す「入院率」は今も27%と、4人に1人しかいない、厳しい状況です。神戸新聞によれば、医師・看護師計170名が大会には必要となり、またボランティアも募集困難に陥ったことを理由に挙げています。

神戸の中止は各所に影響か

 同じ時期には、各地のマラソン大会が開催を予定しています。このうち、横浜マラソンや東京マラソンは神戸同様参加料値上げを施して万単位の規模のランナーを集める見込みです。今回、神戸マラソンが下した決断は、これらの大会の判断に少なからず影響はあるでしょう。「オリンピックのレガシー」にこだわり、選手をモノ扱いしてでも開催するのか、判断が待たれます。私としては、そういう扱いにするならば2022年大会に再起を期す方が自然に思えます。

 関西圏では、同時期に福知山マラソン、奈良マラソンなどが予定されています。現状、いずれも今年の開催は流動的な状況です。奈良は通常6月に募集が始まりますが、今年は慎重な検討を要する、として要項発表も行っていません。この姿勢がやはり大切なのではないか、と思います。

「2万人」ありきの末路は悲惨

 結局、神戸マラソンは「2万人」の規模を変えようとしなかったことが今回の顛末に繋がったと言えます。オリンピックへの風当たりが強まる中、一大会に対し、医師や看護師、ボランティアを総動員する態勢への忌避感も高まっています。「大会よりCOVID-19最優先」が叫ばれる中、マラソン大会は「切られる側」に置かれていることを認識する必要があります。
 しかし、2年も中止が相次ぐ展開に、ランナーの疲弊が重なり続けていることもまた事実です。医療体制を守りつつ、大会との間で折り合いをどう確保するか、これはCOVID-19の収束後の危機管理として課題が投げかけられています。もはや2万、3万と人を集めて大会をするのは適当でない時代に変わっている、との認識は必要である、と考えます。

 それでも、目の前の現実から目を背け、大会中止を「ふざけるな」「ビビるな」とランナーが述べるようでは、未来はありません。