アシックスの決算、大幅黒字に

前年同期の赤字から切り返す

 5月13日、アシックス(12月決算)が、1月~3月までの第1四半期の決算を発表しました。それによると、前年同四半期の2億円の赤字から、今四半期は100億円を超える黒字を叩き出す、極めて堅調な数字が出て来ました。

アシックス 2021年12月期第1四半期 決算短信

 会社によると、中国・ヨーロッパ両市場をはじめ、海外で「パフォーマンスランニング」(いわゆるレース用等のランニング関連品のようです)部門が好調に推移し、前期比43%増の544億円余りを売り上げたとのこと。決算書類でも、川内優輝選手のメタスピードスカイ着用によるPB更新の件が触れられていました。
 日本での売り上げは304億円とCOVID-19の感染拡大の影響が出始める直前に当たる前年同期とほぼ同水準を保ちました。去年は第2四半期以降、COVID-19の感染拡大売り上げ不振に陥り、赤字が期の進行と共に膨らんでしまいました。

今後の見通しは感染収束次第

 アシックスはCOVID-19の感染状況を踏まえ、全体業績の見通しに幅を持たせていますが、先日の第1四半期決算発表と同時に業績予想を上方修正しています。また、会社によると2022年以降は本格的な回復を見込んでいる、としています。
 今回、海外におけるランニング関連商品の需要が旺盛だった、と読み取れる結果が出ました。感染状況が落ち着き、再び大会が復活する、となれば、アシックスも意欲的に新商品を送り込むのではないか、と思います。他社との競合を見据えると、パイの取り合いだけでは難しいので、いかに裾野を広げていくかは今後も問われることになるでしょう。

ミズノと共に「日本発」の文化牽引を

 長年、日本の陸上界に大きく貢献してきたアシックスとミズノ。この両社が元気であることは、日本のスポーツ界にとっても喜ばしいことです。近年、マラソン界は「黒船」となったナイキの強さが目立ちますが、このCOVID-19の難局を乗り切って欲しい限りです。
 アシックスはカーボンプレートを使ったメタレーサーシリーズ、ミズノは独自技術で反発をもらうフォーム「MIZUNO ENERZY」の浮沈が今後の展開を握る状況は今しばらく続くでしょう。「一人でも出来るスポーツ」として見直されつつあるランニング界。「Stay Home」の中でも、運動は不要不急の外出とは言えません。
 両社がしのぎを削り合い、日本のランニング文化の旗振り役として活躍することは極めて重要です。文化の灯を守り抜くためには、ランナーと業界の共同を引き続き推進する必要があるでしょう。