「ランナーファースト」を否定する東京マラソン

2021年大会の募集始まる

 先日の記事にて、東京マラソン2021の募集受付開始の件を取り上げました。募集要項にて、選手受付は前日までの3日間に分散させる、とありますが、これは25000人と大きく踏み込んだ募集をする以上、COVID-19対策としてある種当然とも言えます。
 そして、今回も「緊急事態宣言下では中止もあり得る」との条件付き開催の予定であり、感染者数が大会の近くで大きく上がって3度目の宣言となれば、2020年大会同様、一般ランナーを締め出すのではないかと考えます。「準エリートの人はスタートラインに立たせるべきだ」と思いますが、実行委員会がそんなことをするとも思えないのが実情です。

ランナーファーストを捨てたか

 体調管理を万全に、というのは当然求められますし、大会の指示に従わなかったランナーを失格とする、というのは理解出来ることではあります。しかし、大会出走に関して承服できない点はいくつもあります。
  1. 手荷物預けを廃止する
  2. 競技服装でスタートに来るように、手持ちの防寒具は持って走ること
  3. 回収バスは無し、DNF時は電車に乗って帰ること
  4. 更衣エリアは用意するけどなるべく使うな

【リンク】

  1. 東京マラソン2021 募集要項
  2. 予定コースマップ

 スタートは新宿・都庁前、フィニッシュは東京駅前、というコースですが、新宿に競技服装で現れるのは、10月初頭であれば寒さの懸念はまだ少ないとは思います。しかし、当然ランナーが必要な荷物を持って大会に乗り込む、ということをなぜ想定しなかったのか。ここは「手荷物1個に限り預かる」として、都庁で受け渡しとするのが筋ではないか、と思います。
 そして、「密回避」として回収バスを廃止すること、更衣エリアは東京駅前に用意するが使ってくれるな、という態度を取っている時点で、ランナーを「駒」かその他大勢の有象無象、と捉えているのではないか、と思えてなりません。実績の積み方としておかしい方向に進んでいる感があります。

 私としては、こんな対応をするなら、定員を半減させてでも、手荷物預かりの用意、更衣スペースを東京駅と新宿・都庁周辺に分散確保する、などして、ランナーを迎える態勢を万全に整える方が筋だと思います。「25000人ありき」で語るべきではありません。

2022年大会も注視必要

 色々とランナーの皆さんから異議の声が上がる今回の東京マラソン。注視すべきは、3月に開催が戻る2022年大会です。3月第1週の朝は決して暖かいとは言えません。そんな中、今回と同じように「手荷物は一切預からない、競技服装で来い」という走る側に寄り添わない態度を引き続き取るならば、東京マラソンのブランドイメージを著しく毀損します。その覚悟は実行委員会にあるのか、厳しく問わなければなりません。