東京マラソンのPCR検査実施に思うこと

事前検査の導入決まる

 3/24の本ブログの記事で、東京マラソンはランナーファーストを捨てたのではないか、という点で厳しく指摘しました。今になっても、「COCOAやアプリを使うからスマホ持ってこい」の姿勢を大会側は一切崩していないことには嘆きが先立ちます。

 他方、東京マラソンの実行委は6月中旬に「PCR検査の導入」を打ち出しました。

 募集要項の下部に、参加料とは別にCOVID-19の対策費を負担してもらう、とのことで、実際に今回はPCR検査がなされることになりました。その額は6800円。決して安くはありませんが、検査それ自体の相場としてはよくある範囲、と言えるでしょう。

「TOKYOスタンダード」としていくのか

 今回、東京マラソンが打ち出した「事前検査」。開催するに当たっては「検査必須」というものが今後さらに増えていくことは十二分に想定されます。来年2月末に移る予定の大阪マラソンがこれに追従すれば、マラソン界のスタンダードと化すでしょう。
 しかし、規模が大きくない大会であれば、検査を大会側が責任を持って用立てるのは難しくなります。そこへの影響を東京マラソンの大会当局が踏まえている踏まえているとは言い難い状況です。あくまで「東京マラソンをやる」の一点突破、「オリンピックの流れを引き継ぐ」ということしか念頭にないのだろう、と映ります。

「ワクチンパスポート」活用もあるか

 大会の規模によっては、PCR検査の導入よりも、接種が進むCOVID-19ワクチンを打つ、ということが参加要件となっていく可能性はあります。医師、専門家とも、「重篤な副反応の発生は極めて稀である」とし、接種は推奨すべきと考える意見が大勢です。
 厚生労働省も現在国内承認が下りているファイザー、モデルナ両社のワクチンの有効性、安全性は確認し、推奨するとの立場です。私自身もこの点は同意しています。

 今後の大会では、ワクチン接種が自由診療になってもPCR検査より安価となれば、「ワクチンパスポート導入」とする場合が増える可能性がある、と考えています。
 当面、制度は海外渡航者向け、とされていますが、国内開放されれば使う団体がない、という状況は無いと言えます。特にマラソン大会からすれば、感染症に関する危機管理上求められる制度の一つとも考えられます。

おわりに

 東京マラソンが打ち出したPCR検査の実施。そこまでして「25000人ありき」のレースをしたいのか、という点には疑問を呈さざるを得ません。「スマホを持ってこい」「DNFしたら自力で帰れ」「荷物は持って来るな」などと無理難題を突き付けるランナーファーストの対極にある大会です。
 要項に書いてあるから、との理由で、選手の持ち出し額の見通しも示さないまま突然に4か月前に6800円の追加費用を求めるのが誠実な姿勢なのかは書くまでもない、と私は考えます。