名古屋から感じた世間との「分断」

松田選手の優勝で幕閉じる

 先日、3月14日、愛知県名古屋市で開かれた「名古屋ウィメンズマラソン2021」及び「名古屋シティマラソン2021」。名古屋ウィメンズマラソンでは、ダイハツ所属の松田瑞生選手が2時間21分51秒の好タイムで優勝しました。
 そして、この2大会ではそれぞれ約5000人の市民ランナーがスタートラインに立ちました。市民マラソンの復活の狼煙が上がった最初の大会となり、今後の大会がこれに続くことが期待されます。

ランナーと世間の「壁」

 ランナーの立場からすれば、「無事開催されて良かった」という思いが強いのはある意味自然な感覚です。しかし、普段走る習慣のない人の中には、SNS上で「こんな時にマラソンをやるなど非常識極まりない」という趣旨の論調の人もいました。これに、私は相容れない壁の存在を強く感じました。
 おそらく理由の一つが交通規制にあるでしょう。この日の名古屋市内中心部は、フィニッシュのナゴヤドーム付近では10時間に亘って規制が敷かれていました。

名古屋ウィメンズマラソンの交通規制(大会HPより)

 これらは事前告知のあったものなので、「情報を把握していない方が問題」と言える類のものだと私は考えています。

 しかし、東京オリンピックの開催に対して否定的な意見が増している中、マラソンを始めとして市民が参加出来る大会が受容されるどころか、拒否反応を示されている、というように思いますし、今後これが先鋭化することも懸念されます。現在、COVID-19に関して都市封鎖(ロックダウン)を行っている国の中には、「宣誓書・証明書不携帯の外出は罰則を科す」と厳しい措置を講じているところがあります。

海外の規制の実例について

フランスの外出規制について(在フランス日本大使館HP)


 HPを埋め込んだフランスの場合、昨年12月から夜6時以降原則として外出を禁じる措置を講じています。この他、イタリアは一部を除き、3月~4月にかけては夜10時~朝5時、最高レベルの警戒州では一日中理由なき外出を禁止しています。フランスの場合、違反者には135ユーロ(3/17現在の為替レートで約17000円)の罰金が初回には課せられることになっています。
 イタリアではジム・プールといったスポーツ活動センターも警戒レベルが指定された州では閉鎖されるなど、スポーツが満足に出来ない状況になっています。

スポーツは健康生活に欠かせない

 このような他国の状況もニュースを通じて入る中、日本はあくまで要請ベースの緩やかな対策であるため、現状ランニングをすることに支障がある状況は限定的です。(東京では競技場閉鎖が発生していますが、そのような例はごく一部です)
 しかし、スポーツをしない、という人からすれば、ランナーにマラソン大会をセットすることがオリンピックを何が何でもやろうとする国・組織委と重なり、ランナーの「ワガママ」と捉えているのではないか、と思います。
 スポーツを「観る」のはOK、実際にやるのはNGでは釣り合いません。ワガママでも何でもなく、マラソン始めスポーツを人々が取り入れることは健康増進の観点から推奨されるべきだと考えます。もちろん、COVID-19感染対策は十分に(密を徹底回避する、マスクも状況に応じて付ける etc.)というのは大前提です。