防府読売マラソンが開催されて

「県内限定」として行われて

 先日、20日に行われた防府読売マラソン。丸山竜也選手(八千代工業)が2時間10分を切る好タイムで優勝し、プロランナーの川内優輝選手が自身100度目のサブ20を達成して2位に入るなど、新型コロナウイルス禍の中でも話題となった大会でした。
 今回は「山口県内在住者限定」でランナーを募集し、約300人の狭き門を突破した市民ランナーもスタートラインに立ちました。
 
 限定的だったとはいえ、2月第3週の京都マラソンなどの後ことごとく中止となっていた「公道開催」の市民参加型マラソンが10か月ぶりに帰ってきた日となり、この難局の中の一つの記念碑となったと言えるでしょう。参加された皆様、大会開催に奔走された関係各位に改めて感謝と最大級の敬意を表したいと思います。

「マイクロ○○」とマラソン

 かくして、非常に規模を縮小しながらも、つつがなく開催された防府読売マラソンは今後の範となってくれるものと思います。
 巷ではGoToキャンペーンに併せて話題となったのが「マイクロツーリズム」。SBジャパンが運営するサイト「みんなの観光協会」でも展望が述べられています。

【記事】コロナ禍におけるマイクロツーリズムのメリットとは?今後の展望を解説

(出典:みんなの観光協会HP,みんなの観光協会第3編集部・編)

 マラソンの「マイクロ」と言えば、「新しい様式」として行われるようになった「オンラインマラソン」。基本的に1人で走ることを求められ、参加賞はもらえても例年のように順位も付かず、「期間内にトータル42.195km走って下さい」という謎ルールが課せられているところも少なくありません。 
 そして、もう一つが「マイクロコンペティション」です。これはトライアルマラソンなどに代表される、民間団体がメインで主催している小規模マラソン大会です。ことごとく中止続きだったことから、各地での大会再開後は有力ランナーもこぞって参戦する例が少なくありません。

 岩手・遠野市で行われたトライアルマラソンには、防府読売マラソン2位の川内優輝選手も参戦する盛り上がりぶりだったとか。私も先日参戦しましたが、大会で健脚を競い合うこと、そして終わってから同志であるランナーの皆さんと健闘を称え合える機会の素晴らしさを改めて気付かされる機会となりました。

2021年は「マイクロコンペ元年」となれ

 現状、中止となった大会が元の規模で再び実施出来るとは考えにくい状況です。新型コロナウイルスにとどまらず、未知の感染症に対し、日本が「対岸の火事」として安穏に構えていられるような状況になることは今後もないでしょう。
 そして、2020年、マラソン大会が感染症に対してなす術なく中止に追い込まれた轍を二度も踏むことがないように備えていくことが、今後日本のマラソン文化を守り、発展させる上では欠かせないことである、私はこのように考えます。

 そのためには「マイクロコンペティション化」の流れは避けては通れないと言えます。
 最大でも1000~2000人程度のランナーを集め、各地で大会を同日に開催してランナーを分散させないと、「感染症が広がれば中止」という連鎖は絶対に止まらないでしょう。
 少ない人数でも、参加者の地域を限ってでもやる、という防府読売マラソン、五島つばきマラソンのような姿勢で力比べの場を確保しよう、との試みが今後広まり、後から「マイクロコンペ元年」が2021年だった、と言われるような年になって欲しい、と年の瀬に感じています。