「1万人呼ぶこと」ありきが招いた末路

 おはようございます。
 先日、「遅くとも10月中に判断する」としていた第41回丹波篠山ABCマラソンを中止する方針であることが報じられました。今のところ公式な発表はありませんが、追ってHPに情報が上がるものと思われます。

 
 記事によると、丹波篠山市内で開かれた実行委員会では、「県内外から1万人を迎えるのは困難」とし、「大会に親しんでくれている人のために従来と異なる形で開催したい」との説明があったとのことです。
 「1万人を迎えるのが困難」という説明は、ある種その通りで、今の状況下でそれだけの人を呼んで有事があれば、大会存亡の危機を即刻招きかねない、というのは明らかだと思います。

 しかし、1万人を呼んでフル開催する、という発想ありきという点に私は首を傾げざるを得ません。かねてから、「まず県内、地域内のランナーを招いて徐々に実績を積むこと」が大会開催の機運を作る上で大事だ、と考えていることを述べてきました。
(9/13の拙稿「ハイテクハーフの成功を祈ります」より)

 丹波篠山ABCマラソンは、第39回大会では参加料6500円で先着1万名、としていました。
出典:丹波篠山ABCマラソンHP「大会開催要項」より
(https://tambasasayama-abc-marathon.jp/outline/)

 今の時世を踏まえると、参加料10000円(例年の倍額)で先着500~800名(兵庫県内在住ランナー限定)+招待選手(39回大会の男女各部門優秀選手)ぐらいの規模感でも、文句はほとんどないのではないか、と思います。そして、参加が難しい人にオンラインマラソンや別日のイベントをセッティングし、神戸新聞の記事にあった最安値500円からの価格帯で参加してもらう、という2段構えのイベントとするならば私としてはまだ許容することが出来る状況です。この点は、リアルイベントとして、スロージョギング体験会やロゲイニングに取り組む奈良マラソンが好例だと思います。(奈良マラソン公式HP

 オンラインマラソンは「期間内にトータル42.195km走ればよい」というフルマラソンと全く趣旨を異とする競技スタイルであるにも関わらず、それを「新しいマラソンの形」と定義するのは明らかに違うと思います。
 村岡ダブルフルウルトラランニングも今年は中止となりましたが、一方で香美町村岡区内を走る「ジオラン練習会」は第3回以降リアルイベントとして順次開催されています。このように、別の形でリアルイベントを模索する動きすらせず、オンラインマラソンで「はい、おしまい」のような投げやりさは、大会の名声や権威に傷を付ける行為ではないか、と感じたニュースでした。