緊急事態宣言の「前のめり解除」の懸念

病床使用率50%を下回るも

 6月3日、兵庫県では確保病床1151床に対して、入院されている方が571名となり、全体での使用率が50%を下回りました。しかし、依然重症の方が77名と極めて高い水準で推移し、苦しい状況にあることは全く変わっていません。
 今回の第4波では、病床が逼迫したことで「なかなか入院出来ない」という状況に陥りました。そのため、 厳しい状況だった4月、5月に入院された方が退院された段階で「入院待ち」だった人が順次病院に行って、空きが少ない状態が長く続いています。
 ここに来て、新規の感染者数の報告は下げ止まってきています。この状況でさらに対策が緩められれば、第5波は時間の問題です。6/20を過ぎても、兵庫県なら阪神間や明石市などを「まん延防止等重点措置」に指定し、対策を厳格に実行せざるを得ません。今や、「厳しく締めて抑え込む」をしなければ歴史が繰り返すだけです。

「前のめり」の招いた悲劇

 第4波は、大阪府が宣言の早終を京都、兵庫と共に要請したために起きてしまいました。その後の状況悪化も、政府が対策に後ろ向きだったことも重なって深刻化しました。同じ轍を踏んでしまうことはあってはなりません。
 指標を見て機械的に解除要請を出さず、今回は最低限6/20の期限は動かすべきではありません。期限解除後も重点措置移行に踏み切り、対策は緩めない姿勢を明確にする必要があります。

JAAFガイドラインに沿えば大会は困難か

【JAAF(日本陸連)HP】「ロードレース開催についてのガイダンス(チェックリスト)(第3版)

 1月15日改正版のガイダンスによると、前提条件は引き続き以下の通りです。
  1. 緊急事態宣言が解除されていること
  2. 開催自治体からの開催認可と通過自治体への開催周知
  3. 開催都市にCOVID-19の医療体制が整っていること、後方支援病院の存在
  4. レースの全関係者の連絡先把握と健康状態把握が可能なこと
  5. 感染症対策室の設置と予防対策の徹底
  6. 陸上競技活動再開のガイダンスに沿い、終了後は報告書をJAAFに提出
 沿道応援者の安全確保が困難、とされるのも、この前提条件の4番を厳しく運用するとそのようになってしまいます。また、地方では後方支援病院を容易に得ることが難しい状況でもあるため、開催に踏み切れなくなっていることは言えるでしょう。
 そのような状況で「オンラインはうんざりだ」「リアルで走らせろ」と訴えることが如何に現実を見ていないか、ということをランナーは胸に刻む必要があります。どういう態勢でやって行くか、慎重な検討を要する状況は一切変わっていません。

 また前倒し解除に至ってしまえば、もうマラソン大会には不可逆的なダメージがのしかかる展開になるでしょう。政府や自治体は慎重に、かつ賢明に判断してもらいたいと考えます。