大会が傷ついた東京マラソン

宣言延長も判断留保

 兵庫県の他にも、東京、大阪などに出ている緊急事態宣言は30日まで延長されることが決定しました。
 そんな中、宣言解除予定日から約2週間余りで本番を迎える東京マラソンは「17日に可否決定」と発表しました。既にメディアでは「今秋中止」の文字が支配的な様相を呈す中、まだ判断は留保されている状況です。
 東京都内の感染状況はようやく数字上落ち着きを見せ始めました。しかし、既に崩壊状態にある医療体制を鑑みると、宣言の予定通りの解除は困難極まる状況です。感染収束ありきで募集し、なおかつ判断を17日まで待つことで、「規定に則して」返金せずに大会関係機関の懐に入れよう、という姿勢が疑われるのはやむなしと言えます。

「ランナーファースト」への挑戦

 もとより、東京マラソンは「棄権者は自分で移動手段を確保せよ」「フィニッシュに更衣室は作らない」「健康チェックはスマホ以外認めぬ」と、頑なな姿勢でした。「自分たちの運営に都合が良いように」との意図を隠さない姿は「ランナーファースト」への明確な挑戦でした。
 3/24付の本ブログにて東京マラソンに関する問題点を指摘しましたが、大風呂敷を広げ、「COVID-19に打ち勝った証」として行うことはやはり無理があった、と3月時点でも予見できたのではないでしょうか。

大会の看板に傷をつける結果に

 日本のマラソン文化発展に多大な影響を与えたのが東京マラソンにあることは間違いありません。しかし、25000人も集めてやろう、とした事実は重く残ります。そして、同じ轍を踏む結果となり、さらには理事会決定を延ばしてエントリー料返金の手間を省略しよう、という意図も見えてしまいます。これは大会の看板が傷付くことにもなります。

 2022年大会は開催されてもらいたい、と思う気持ちもありますが、それ以上に「こんな滅茶苦茶な仕打ちをする大会はランナーとして参加をためらう」という感情が強く残ります。同週には関西だと「丹波篠山ABCマラソン」もありますし、大阪マラソンも来年は2月に移行されてきます。名古屋WMに範を求めれば、規模の大幅縮小は不可避、との現実があります。
 大きな人流の引き起こしが避けられないのがマラソン大会です。それをなるべく小さくするためには「厳しい時間制限」もやむなしです。それを念頭に置かず、「全ての人にマラソンを!」と綺麗事を述べられる時代は終わった、ということをCOVID-19禍は示唆しています。それに合わせて変えて行くしか、末永い生き残りは困難となるでしょう。