東京マラソン2021、半年延期へ

2022年大会の実施日にスライド

 9月17日、多くの市民ランナー、そしてマラソン界が注目していた「東京マラソン2021」の開催可否の結論が下されました。理事会での決議は、「来年3月への延期、権利スライドor権利放棄による返金を認める」というものでした。

 1ヶ月前の中止決断で「エントリー料全額召し上げ」という事態を嫌った結果の「結論引き延ばし」と私自身は解釈しています。これに伴って2022年大会は中止として扱われ、権利を2023年大会に振り替えるか、権利放棄するか、という選択となりました。

「権利放棄して他大会」が増えるか

 今回の東京マラソンのエントリー料は16500円となっていました。後にPCR検査代が増えたりしましたが、そこを除くと、権利放棄によって1万円を超える返金が発生することも想定されます。そうなると、地方在住の方を中心に、同時期の別の場所で開かれる大会へのエントリーに切り替えることも考えられます。差額を払って近場の大会に出れば、東京に行くより安く上がる可能性もあるからです。

 なるべく人数を減らし、世間に歓迎される状態で開催したい大会側としては、多く返金出来る「権利放棄」を積極的に選択して欲しい、という狙いもあるように見えます。ランナー界のみならず、出来得る限り多くの人に歓迎されること、これは大会維持には欠かせません。

ハイテクハーフの開催が情勢を握る

 2022年3月、約半年後のCOVID-19禍の状況は誰にも見通せません。ワクチン接種の進展がどこまで進み、どの水準で頭打ちとなるか。重症者が抗体カクテル療法で抑え込めるかが肝要です。それで負荷が相当軽減された先に、大会の復活もあります。
 2022年の東京マラソンが開催出来るかは、1月になって初めて行われる予定の「ハイテクハーフマラソン」を始めとする公認大会がどんな形であれ開かれるか、ここに懸かります。地方では、この状況下でも県民+エリートランナー限定で実施する防府読売マラソンの例もありますが、柔軟な対応が出来なかった以上、2022年の大会の動向待ちとなるのは致し方ありません。

 そして、COVID-19禍が明けた際には、「持続可能なマラソン大会の在り方」を真剣に議論すべき時が訪れるでしょう。感染症との共存下、もしくは未知の感染症の発生時でも、対策を施して開催に漕ぎつけられる態勢を整えること、これが大会の伝統継承に必要となります。果たして、東京マラソン2021からどういう知見が得られるのか。答えは半年後に判明することでしょう。