緊急事態宣言解除は早過ぎる

斎藤知事は解除の意向

 今月末、30日が期限となっている緊急事態宣言。兵庫県でも、斎藤知事が感染者数減少を理由として「解除し、重点措置へ移行したい」との意向を示しました。さすがに「全面解除を求めるのは困難」とのトーンですが、一方で政府が検討している行動制限緩和実験に参加したい、との意向を示しています。
 記事によれば、「日常に戻すためには意義がある」との理由を述べています。これらから、斎藤知事は早期に重点措置も緩和させ、ワクチンの効果で「第6波」も乗り切れる可能性が十分あると、こう見ているのではないかと考えます。

しかし解除は早いのではないか

 しかし、私自身は宣言解除は極めて慎重に判断すべきであり、現下の状況で解除に踏み切ることは時期尚早だと考えます。兵庫県下での入院率は改善傾向といえ、9/22の24時現在で23.7%と高くはありません。つまり、4人に3人は自宅療養や入院への調整を余儀なくされている状況です。第4波以前のように十分指標が改善した訳でもない中、解除しよう、行動制限も緩めようと、このように議論されることには懸念を覚えます。
 特に、大阪府の動向は兵庫県、京都府など関西圏に影響を与えます。これは東京の状況が1都3県すべてに影響することと同じです。

 そんな中、大阪府の吉村知事も行動制限緩和実験に飲食分野での参加を検討している、ということはいち早く報じられました。
 これを聞き、大阪府はやはり宣言解除要請に前のめりになっているのではないかと、そういう感想を持つのみでした。まだ感染者数の発表の数字が高い中、現実から目を背けているのではないか、と言えます。

「共存」を図れる状況になし

 世間では「COVID-19との共存」を当たり前として語る向きがあります。しかし、「共存」するには何かあった際、素早く封じ込められるだけの状態にしておく必要があります。火事で初期消火が大事なように、火種が出来たらそこにすぐ処置出来るよう、今は備える必要があります。「希望を語れ」「経済を回せ」だけ主張することは、「今だけ、自分だけ」との発想に基づくのではないか、と考えます。
 マラソン界もそれは同じです。「共存不可能」であり、リスクを極小に抑えるのが難しい以上、県内ランナー限定、ないしは宣言地域からの欠場要請で規模を大きく制限して実施するしかありません。にもかかわらず、「希望催行人員」と言わんばかりに万単位の数字をぶち上げ、結果的に「絵に描いた餅」になっています。東京マラソンの例も言うに及びません。

 今は宣言を解除出来る状況に落ち着いた、とは言えません。仮に解除するとしても、地域実情に合わせ、濃淡はっきりさせた強い重点措置を講じ、封じ込めを明確に出来なければ、第6波、第7波と同じ轍を踏み続けます。選挙もある今秋は一つの曲がり角となりそうです。