大阪と名古屋の180度違う方向性

大阪国際女子マラソンの要項発表

 去る11月11日、来年1月31日開催予定の大阪国際女子マラソンの要項が発表となりました。例年同時開催となる「大阪ハーフマラソン」は中止となり、また参加基準もより厳格に設定されることとなりました。
出典:第40回 大阪国際女子マラソンHP 大会要項
https://www.osaka-marathon.jp/entry/

 過去の大会は、「フルマラソン3時間15分」が資格であるエリートレースとして行われてきましたが、2021年大会は何と「フルマラソン2時間50分、ハーフ77分」などのようにトップクラスの選手に限定した形でのレースに。一方、資格を満たした選手は全員「参加費免除」とのことなので、実質的にはエリートランナーを全員大会に招待する形態とする、との発表がありました。

 大会実行委員会によると、「大阪の市街地を駆け抜けるコースのため、公道の使用時間をできる限り短縮するために今回に限り大幅に参加資格を厳しくする」とのことです。

実行委員会リリース

 来年はオリンピックイヤーということもあって、その意味で本大会がトップレベルの選手に対して持つ意味は大きいものがあります。元来がトップクラスの女性ランナーの目標レースである以上、このような対応になるのもやむないことか、という感想を持ちました。

門戸を開く方向に戻る名古屋

 一方、日本の女子マラソンのツートップのもう一つ、来年3月の「名古屋ウィメンズマラソン」は参加費を値上げし、定員を例年の半分に絞ることにはなりますが、同日開催のハーフマラソンである「名古屋シティマラソン」と併催し、広くランナーに扉を開きました。

 日本には「第3波」と呼ばれる新型コロナウイルスの波が来た兆しが見えています。東京のみならず、各地で感染者数が過去最高となるなど、状況の見通しが厳しい中、果たして名古屋が当初予定通りに開けるのか、それとも制限時間の足切りを掛けて参加者を絞る方向に舵を切ることになるのか、その動向も今から気になるところです。

今後望む方向性

 おそらく、例年通りの規模で出来る大会は当面ないものと思います。そうなると、「ロードレース難民」が増えることは想像に難くありません。ならば、各地の公認大会を集中して開催する日を設け、「出場は地域単位・都道府県単位」として、ランナーを各地の大会に分散させて参加者の上限を少なくしつつ各地で同時に実績を作るのが現実的な対応になるだろうと思います。

 感染症対策の在り方の実績を大会開催を通じて重ねることは、今後同様な危機が生じた際に「状況の激変」を少しでも小さく抑える上では必要なことだと思います。ランナー界隈のみならず、激変の波に振り回されることは人々を疲弊させます。なるべく通常の状態に近いものを保つため、あらゆる知恵を総動員して臨むことが、今後求められると私は考えています。