長崎平和マラソンの動向について

長崎新聞の報道を受けて

 昨年12月末、長崎新聞が「被爆75年記念事業」の一環で開催予定だった長崎平和マラソンが、当初の今年11月からさらに延期され、2025年に第1回を開催する検討にある、と報じました。
 それによると、参加者は当初の1万人から3000人程度に絞る必要があり、沿道の応援や関連行事が出来ないと、開催目的が達成されない。このことから、コロナ禍が落ち着く可能性が高い2025年まで思い切って延期しよう、とのことです。

【長崎新聞】平和マラソン 2025年まで延期検討 長崎市(長崎新聞 2020/12/29記事より)

「無期限延期」も覚悟が必要か

 この報道を受けて思ったのが、現時点で2021年に開催を延期することが決まっている大会です。特に、年後半に行われる大会が早い段階で「2021年への大会延期」を打ち出しているところもありますが、感染拡大の煽りに加え、先の状況が見通せない中で、今後は「無期限延期、状況が落ち着き次第開催」という方向も出てくるのではないか、とも踏んでいます。
 現に、加古川マラソンは6月の2020年大会中止時点で、次回大会を「決まり次第、日程や要項を発表する」との旨のリリースを出しています。現状では今年2021年の開催を予定しているようですが、これも年度替わりを待たないと分からないと言えますし、半年前の時点で見送りを決めていることから、今回も早い段階で決断がなされることを予想しています。

出典:加古川マラソン大会 HP「第32回加古川マラソン大会『開催延期』のお知らせ」
大会HPへのリンク

 箱根駅伝は全日本大学駅伝に引き続いて開催されることとなりましたが、これについても「この期に及んでやるのか」といった論調の発言も散見されています。
 そして、オリンピックは「開催中止すべき」との声が世論調査で「開催すべき」を上回るなど、スポーツを巡る環境、マラソンを取り巻く状況はなお一層厳しい状況に陥っています。オリンピックが頓挫すると煽りを受けて他のスポーツイベントも無くなることは避けられず、それはマラソンも例外ではありません。そうなると、2年連続どころか、「当面見合わせ」が主流となり、市民ランナーの裾野を急速に絞る方向に働くのでは、と危惧しています。

「盛り上がらなければ無意味」なのか

 「感染症対策が難しいから止めます」だけで片付けられる時は終わったと考えます。沿道で鈴なりのギャラリーに見守られて走る光景は良いものですが、それにこだわって選手の力量を試す舞台をことごとく奪うのは正しい在り方ではないと考えます。
 自治体が絡むと「地域振興」が大義名分になり、「もっとたくさんランナーを集めよう、集めよう」という方向に舵が切られた結果、この新型コロナウイルス感染症の猛威の前になす術ないままに「中止」を決め、所によっては「ご理解よろしく」だけで済ませる大会もあります。
 
 防府読売マラソンは、実業団選手を除いては実質的に「県内限定大会」として無事に開催され、今年2月には五島つばきマラソンが長崎県在住者500人(フル・ハーフ計380人+4人1組のリレーマラソンが30組)を集めて開催予定です。

五島つばきマラソン 大会要項

 当面は「県内限定」で何とか開催を模索して舞台を整えなければ、ズルズルと中止ラッシュを長引かせてしまいます。ランナーに「耐え忍べ、とにかく耐え忍べ。いつかやるから」とだけ言い続けたとしても、心折れる人は少なくないでしょう。
 今後は「盛り上がるかどうか」を基準に「感染対策が取れない」と言い張るだけではなく、何とか知恵を絞ってやっていく姿勢を見せる大会かどうか、ということがさらにランナーから見極められるのではないか、と考えています。